乳製品なし!卵なし!油なし!ケーキがべちゃっとする理由を克服した「ヘルシオで作るバナナケーキ」
ケーキにはいろいろ忘れがたい失敗がある。
最近、ケーキ型としてとても使いやすいもの「スル トン」を手に入れたので、どんどん使うべく(「スル トン」は値が張るので、使い倒したい)ケーキの基本レシピを構築するための研究を重ねている。
前回のケー クサレは、しっとりはしているがまるで羊羹(ようかん)のように気泡が見られない部分があるという、「半生パウンド」状態となっていた。
火がしっかり通っているので生焼けではない。
つまり、これ以上焼いても、状態は変わることはないのだ。
羊羹の原因は何か、ということをネットで検索したり、本を読んだりし、その理由を解明し、新たなレシピを組み立てた。
「ヘルシ オで作るバナナケーキ」
材料
◯小麦粉(薄力粉)180g 国産小麦粉使用
◯ベーキングパウダー 大さじ1/2
◯アップルソース 90g (すりおろしリンゴのパウチタイプ使用、砂糖不使用が好ましい)
◯バナナ 100g
◯デーツシロップ 大さじ3
◯水 60ml
1)生地を作る、ヘルシ オを予熱する
ヘルシ オを予熱する。
ヘルシ オ設定
手動 ⇒ ウォーターオーブン・180℃・予熱あり ⇒ スタート
薄力粉、ベーキングパウダーをボウルに入れ、泡だて器でよく混ぜておく。
水、アップルソース、デーツシロップ、バナナを容器に入れる。バナナをフォークでつぶしながらよく混ぜ、とろりとした液を作っておく。
液を小麦粉のボウルに加えてさっくり混ぜ、生地を作る。
できた生地を角型の焼き型(食パン用焼き型スル トン使用)に入れる。
2)ヘルシ オで加熱する
予熱完了後、焼き型をのせた角皿をヘルシ オの下段に設置する。
ウォーターオーブン・180℃・35分 ⇒ スタート
3)焼き上がりをチェックして、完成
加熱完了後、竹串を刺して何もついてこなければ完成。まだ焼き足りない場合は、延長する。
型から取り出して、網の上で少し冷まし、食べやすい大きさに切って完成。
焼き上がり直後にすぐ食べないほうがいい
オーブンから出したばかりの温かいケーキを見ると、つい型から外してすぐに食べたくなってしまうが、焼き上がり直後のケーキは表面がカリッとしすぎ、中は水分が多く、べっちゃり度が高め。均一に水分がなじんでいない状態だ。
きちんと冷ますと水分が生地にだんだんとなじんでいき、ケーキ特有のしっとりとした食感に変わる。
手で触れるくらいに熱をとったケーキをラップで包み、そのまま常温の場所でしっかりと冷ましたほうが、おいしい。
ケーキが羊羹のようにべちゃっとしっとりめな仕上がりになった理由
- レシピの分量・配合が悪い
- 乳化ができていない
- ベーキングパウダーが少ない
1の考察
試作中なのである意味仕方ない。これから調整すれば良し。
2の考察
そもそも乳化とは、本来は混ざらないはずの「水」と「油」を界面活性剤をなかだちとして混ぜ合わせることを言う。
通常、油と水を混ぜると、油は小さな滴になり、そのまま放置すると小滴はどんどん合体して浮き始める。そして油層と水層にわかれる。
ところがここへ洗剤のような界面活性剤を入れて、油と水を混ぜると、なかなか油層と水層に分離しない。しかし、油滴は水より軽いため、ゆっくりと油の滴は浮いていき、最後には二層にわかれる。
界面活性剤にプラスして、さらに電動ブレンダーにかけてみる。油はいよいよ大変小さい滴になるため、液は白くにごる。
ここまでいくと、二層に分離するまでかなり長い時間がかかる。ブレンダーで小さくなった油滴は、ブラウン 運動(水の分子が油滴にぶつかって起きるランダムな動き)をするので、なかなか浮き上がってこれない。
ケーキにおいて、油と水を混ぜ合わせるなかだちをする界面活性剤は「卵黄」だ。(卵黄は天然の界面活性剤で、脂質も多く含んでいる)
乳化がしっかりできていないと、ケーキの中で軽い部分(油層)と重い部分(水層)にわかれてしまう。
重い部分(水層)の部分には「 水ばかりの部分」ができて、その部分は水に対して小麦粉が足りない状況となり、そのままの状態でケーキは焼き上がるので、水が多くてべっちゃりとしたまま焼き上がってしまう。
つまり、乳化できていなかったことが、失敗の大部分をしめていたといっても過言ではない。
レシピに動物性の食品「卵」を入れたくない、そもそも油も入れないという仮定でレシピを作っているので、このあたりが原因であることは否めない。
ま、そこで単純に水を減らし小麦粉を多くすれば「水ばかりの部分」が減るだろうということで、水の量を前回の約6割(2/3の量)にした。
3の考察
ベーキングパウダーは水と一緒に加熱すると分解して二 酸化炭素の泡を出す。
ベーキングパウダーと小麦粉、少量の水で生地を作れば、小さな泡が作れる。
生地をオーブンに入れると二 酸化炭素の出る勢いも増し、どんどん小さい泡ができる。温度があがれば、タンパク質が固まり始め、生地が硬くなるので、泡はその中に閉じ込められ安定する。
小さな泡つまり空気をたっぷり生地の中に閉じ込めてやれば、かるい仕上がりとなるはずだ。
そこで、前回の1.3倍ほどのベーキングパウダーを入れた。
こちらが問題のレシピ↓↓↓
今回、まずまず上手くいったので、このレシピを「パウンドケーキの基本」としたい。
人は時として、花は見るが、枝や葉を見ない。
幹の部分になど目をやらない。ましてやその根っこの部分を見ることは思いつきもしない。
まず花という結果だけに関心を向けるが、根や幹のことは考えようとしない。
「新しいケーキ」という花をうまく咲かせるには、まずは地下にかくれている根である「基本のレシピ」が大切だ。
花が咲くのも根がしっかりとしているからこそだ。
「基本のレシピ」をもとに、中に入れる材料を少しずつ変えてみて、 バリエーションを楽しみたいと思う。
もっとふんわりさせたり、生地をしっとりさせたり、香りをつけたり、食感だけでなくいろいろ変化をつけてみたい。
アップルソース↓↓↓
デーツシロップ↓↓↓